第276章 天邪鬼の愛〜真紅〜(18)
そんな訳ないって。
ひまりは普通の女の子で、俺にとって特別な存在でお姫様であっても、天女なんて……
嘘だって思った。
いや、思いたかった。
神木がひまりを欲しくて、でたらめ言ってるだけ。
そう思い込もうとした。
けど、ワームホールの事を何で知っているのか。俺の左目の事を知っているのか。今までも、俺とひまりが交わした約束を知っていたり、気になる発言なんかして……不思議な点は思い返す程、山ほどあったのは事実。
ーー家康っ!美味しいねっ!
旅行中、隣で花みたいに笑うひまりを見て、この笑顔を守りたいって心底思った。ただ……
ーー家康。信康の話は事実だ。
織田先生は俺に衝撃の一言を放った。
ーーワームホールの観測が出来たそうだ。近々、出現する。
ーーなら、神木が言っていた話は……本当ってこと。
ーー貴様に話してないことがある。それを教えてやる。どうするかは、自分で決めろ。
ひまりが寝静まった後。
俺は先生の元へ向かった。そしたら、明智先生や秀吉先輩、佐助までその部屋に居て……
新月に現れる謎の女。その女が三つの神器を探していること。ひまりの身元が分からないこと。書物が消えたこと。花ノ天女神社の言い伝え、真実の鏡、石碑に約束の玉……石が三つ埋まっている事を一気に聞かされた。
花のことは分からなかったが、ひまりがこの事を知れば、間違いなく壊れると思った俺は……
ーー暫く距離を置いて様子を見ます。
苦渋の決断をした。
昨夜、抱くのに悩んだ。
でも、俺は抱いてしまった。
抱かずにはいられなかった。