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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第268章 天邪鬼の愛〜真紅〜(10)




何でここにいるの?
女の人と会ってたんじゃないの?
待ってるってメールは嘘だったの?

幾らでも出てくる疑問。



「……予備校って嘘吐いて、家庭教師のバイトしてたんだ」


(バイト…………?)


「うちの病院で入退院繰り返してる子で、勉強が遅れてるからって……父さんに頼まれて……あの日、一緒に居たのは母親とその子。たまたま本屋に行った時に会って誘われたんだ」


(なら、何でそう言って……)



そう言いかけてグッと声を押しとめる。自分もバイトをしていたことを内緒にしていた。


もしかして…………


そう思った時。



目の前の高さに持ち上げられた小さな箱。少し角が潰れていて、赤い包装紙に緑色のリボンが掛けられたそれは涙の向こう側で震える。



「待ち合わせ場所に向かっている時に、ちょっと事故に遭いかけて…………形。少し崩れたけど……」





メリークリスマス。




目を見開けば大粒の涙が流れる。
紙袋を手首にかけて、両手を広げればそこにちょこんと乗せられた小さな箱。


ゴトンゴトン!


ゴンドラが大きく揺れて……



「…………っ……」



その拍子に私はくるりと回り……



「い、えやすっ……」



白いセーターに顔を埋めた。



「ご、め……ん……なさいっ」



避けてしまって。
何にも知らないで誤解ばっかりして。
自分のことしか考えれなくて。



「信じ……て、たのに…ひ、っく。嘘……だったのが辛く、……て。やくそ、く忘れられてショックで……っ……」



今度は私が謝る番。



「何にっ、も……知らなくて……っ。今日だって…………っ……」



事故に遭いかけてって……。
なのに走り回って探してくれたのが、その体温から伝わってきて、涙が止まらなくなる。




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