第61章 風待ち月(10)
今夜のメインイベント___
キャンプファイアーの準備が
始められた午後七時過ぎ。
一旦、コテージに戻った私達はダンス相手の話で盛り上がっていた。
「私、隣のクラスの子に誘われちゃった!」
「きゃぁ〜〜!いいなぁ!私なんか誰にも……」
「まぁまぁ。でも別に、自分から誘うのもアリだよね!」
一つの輪になって、女子トーク。
私は、ははっと笑いながら皆んなの話を聞く。すると隣にいたゆっちゃんに肩をトントンとされ、首だけ横に向けると、
「ひまりは、どうするの?」
「え?何が?」
今の話からしてダンスの相手に決まってんじゃん!と背中をバシッと叩かれ、私はさすりながら秀吉先輩の話をゆっちゃんにしようと思った時。
「姫宮さん、いる?明智先生が呼んでるみたいなんだけど」
隣のクラスの保健委員の子に、そう言われ私はコテージから出る。
何だろう……?
保健委員の仕事か何かな?
私は不思議に思いつつコテージから離れた、応急用テントに向かって歩いていると、
「ちょっと、いいかしら?」
急に前方を塞がれる。
築城さんは珍しく一人だった。
コテージから離れた山の入り口。
中心部から離れ、遠くから微かにキャンプファイアーの準備をする声が届く程度の場所。