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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第264章  天邪鬼の愛〜真紅〜(6)




ひとりでに鳴りだした音楽。その静かな曲に耳を傾ければ、胸を包んでいる何かに触れられそうになる。

目を閉じれば浮かぶのはひまりの顔。
今すぐ会いたい。会って誤解を解きたい。でも確か今日は用事があると前に言っていた。俺はオルゴールの蓋を閉じると、携帯のカレンダーを開く。



「クリスマスは明後日か……」



今日は取り置きして貰っていたプレゼントを取りに行く日。明日のイブはよりによって本当に予備校だし。


机の上に置かれたチケット二枚。父さんに頼んで用意して貰った、遊園地の入場券。



(約束……今度は絶対忘れない。ちゃんと話して誤解を……)



こんな状況になったのは修学旅行前ぶり。あの時もすれ違ってばっかりだった。俺は携帯の画面に指を滑らせ、メールボックスを開きかけて数秒後に閉じた。



(行くか…………)



お揃いのイルカのストラップをくしゃっと握ると、クローゼットから洋服を取り出す。セーターから頭を出して、ベットを整えてると部屋から出る。


朝食を済まして、冬休みの宿題をして、時計の針が昼ちょうどをさした頃。俺はコートを羽織り玄関へ。


「あら?お出かけするの?」

「ちょっとね。こら、ワサビ。引っ付くな」


飼い犬のワサビが行くなと言うように、ズボンの端を咥えて戯れてくるが、俺はヒョイと抱いて母さんに預けた。最後にマフラーを巻いて外に出る。


立ち止まったのはひまりの家の前。ピンクのカーテンが開いた部屋の窓を見つめ、暫く様子を伺う。しかし、ひまりの姿は映らない。


俺はマフラーを巻き直して、コートのポケットに手をいれ、歩き出す。


駅前に着くと……


「すいません。取り置きをお願いしていた者ですが……」


「はい!少々お待ちくださいませ。…………こちらでお間違えありませんか?」



赤い包装紙に緑色の大きなリボン。
綺麗にラッピングされたそれは、俺の手のひらより少し小さめ。



「ありがとうございました」



それを受け取って店を出ると、参考書を買いに本屋へと向かった。






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