第9章 動き出す「運命」姫主side
校舎裏に回り森の入り口まで走る。
青々とした芝生の踏み心地が、何だか気持ち良い。
初めて入った裏庭。
な、筈なのに……。
何でかな?
懐かしい気がする。
ゆっくりと進む。
黄色い花が咲き乱れた花畑。
さっきまで、サラサラと流れていた春風。
それが突然止み……
辺りが静けさに包まれる。
まるでこの空間だけが時に取り残されたような……不思議な感覚。
五百年前。
此処で一体、何があったのかな?
学園のジンクス。
石碑の前で想いを通わせた二人は、
「永遠の愛を手に入れる」
言い伝えのようなジンクス。
それが受け継がれるぐらい……
素敵な物語がこの場所には、
合ったのかもしれない。
それにしても、
(探し回ってたから、もうお腹ペコペコだよ……)
下校時間と言っても今日は入学式とホームルームのみ。……まだお昼前。
こうなったら、お昼は家康に付き合って貰わないとね!
「やっと、いた………」
石碑を見つけると同時に、見つけた一つの影。ブレザーを枕がわりにして顔の上に本を乗せ、寝転ぶ家康の姿。