第59章 風待ち月(8)
政宗と二人で買い物してるかと思うと、居ても立っても居られず俺は自然と早歩きになる。
手芸屋の隣の店。
店外に置かれたワゴン。
その前に立つ後ろ姿に、俺はゆっくり忍び寄った。
「来月まで売れ残ってますように!」
可愛く両手を合わせる姿。
そんなの見たら、つい甘やかしたくなる。
野外活動前日、予備校帰り。
夜遅くの閉店間近に
向かった一軒の店。
ワゴンの中にまだ残っていた、
三つ葉のヘアピン。
ひまりが持っていたのは、確かに隣に置いてある四つ葉じゃなくて、三つ葉だった。
無意識に可愛いことばっかするから、ほんと困るし。
(遅くなったけど、前に看病してくれたお礼。って事にしといてあげる)
これを付けたひまり想像するだけで、ニヤける。
この前、ウェディングドレス姿を想像した時もやばかったけど。
「ありがとうございました〜」
渡すのは野外活動終わってからにしようと思い、制服のポケットに仕舞った。