第257章 『一周年記念作品』学園祭♡二日目
更衣室前___
ひまり達が着替えに向かうと、ちょうど入れ違いに女子バスケ部の集団が。すると、フリフリの赤チェックアイドル衣装を着て、高い位置に髪を括ったバスケ部キャプテンの築城が近寄ってくる。
「へっ!?ちょと!何でバスケ部がそんな格好してんのよ!!」
「築城さんの衣装。私達と似てる……」
「まさか真似したの?」
「人聞きの悪いこと言わないで下さる?私達は厳密なアンケートを取って、衣装と曲を決めたのよ?」
そこで披露するのが同じアイドルグループで曲名まで被っていることが判明。どうやら運営者である生徒会の確認ミスのようだ。ひまり達、女子弓道部員の順番は最後。それを知り一気に慌て始めた。
「ちょっ!どうする!?同じのやるわけにはいかないしっ!」
「ダンスはオリジナルだから被らないとは思うけど……」
「衣装の雰囲気を変えて、あと曲名は変更してやるしかないわね」
「はい!」副部長の言葉に女子弓道部員は一丸となって頷く。何しろ優秀賞に選ばれると焼肉で打ち上げという特典付き。何が何でもやるしかない。
「とりあえず、衣装は私がアレンジします!皆んな、急いで自分のを持ってきて!」
現副部長であり、裁縫が得意なひまりはそう声を張り上げ、まだ不安そうな皆んなをまとめる。そして迷わず黒チェックのアイドル衣装にハサミで切り込みを入れ、ダメージ感をあえて加えた。
可愛らしいフリフリ系アイドル衣装から一変して、セクシーなアイドル衣装に。
「よし!メイクもバッチリ決めて、髪型も皆んな下ろすわよ!」
「リズム感が似ている曲に変更したから、軽く一度リハーサルして本番に行くわ!」
「皆んな!頑張ろうねっ!」
更衣室でそんな事態になっているとは思ってもみない家康は、うんざりした表情でステージから視線を逸らしていた。
「「「あなたに〜〜〜♪」」」
「女バスいいぞぉーっ!」
「目の保養だーっ!」
まるでアイドルのコンサート。暗い会場の中にペンライトが光る。