第256章 『一周年記念作品』学園祭♡一日目(後編)
幕がゆっくり、
ゆっくり降りてゆく。
『この後、六人はゆっくりゆっくり私がかけた催眠術が解けて……』
いつの間にかステージ上に移動していた自称いっちゃんが、渦巻き眼鏡をぐるぐると回してパチンッ!と、ど定番のように指を鳴らせば……
フッと会場全体が明るくなる。
「……へっ!?私!政宗のこと先輩とか呼んでたしっ!」
「……ん?何だ……告白シーンの台詞を書かされてから記憶ねえぞ」
弓乃は気に入ったのか、政宗先輩、政宗先輩……と繰り返すと政宗は恥ずいからやめろと頭をグイッと掴む。
「……あれ?三成くん…が、石田先生??」
「……クリスマスが待ち遠しいです」
こちらは相変わらずのほほん反応。
「何か……かなり恥ずいことした記憶があるんだけど」
「何か……胸がドキドキいってる///」
照れ照れするひまりの姿がツボにハマり、家康は一目も気にせず(……かわい)すっぽり自分の中に収める。
いっちゃんマジックが解けた?六人が舞台の上でいちゃこらはじめると、観客席にいた生徒は「ピューピュー」と風が沸くような冷やかしの声が上がった。
しかし、ステージ上は冷やかしではなく冷ややかな視線と悪寒に包まれ……
「貴様は〜〜!一体、何を考えている!!」
「す、すいませんっ!皆んなにこのシナリオプレゼントしたくてっ!」
後で三組にプレゼントするつもりだと言い訳をしながら、ピクリと眉を吊り上げた信長に慌てて、自称いっちゃんは三冊のノートを背中裏に隠して謝る。
「くくくっ。まぁ、本人達が告白台詞を考えたのであれば審査対象にはなる」
「直前に簡単な説明するって言っていたのは、催眠術の事だったって訳だな」
審査は、審査員三人と会場にいる女子生徒の評価。
「では、皆さん。お手元にあるボタンで一番キュンキュンされた告白シーンを選んで下さい」
佐助が告げると、
今度は①②③と分かれた点数表が舞台に現れ……
そこに数字が点灯、点滅して止まっていく。
「「「「おーーっ!!」」」
圧倒的人気だったのは、政宗と弓乃ペア。好評価を獲得して一位。
僅差で二位は三成、副部長ペア。
三位は家康、ひまりペアとなった。