第254章 『一周年記念作品』※告白シュチュエーション②
柔らかそうに思えた先生の体。
でも胸の中に飛び込むような形で倒れ込んだ時。跳ね返りのない硬い感触に、先生もしっかりとした男の人なんだと実感。
鼻に届いたのは、日に干した洗濯物みたいにホッとする香り……
でも、耳に届くのは……
「生徒同士であれば、今すぐでも……」
背中に何かが突き抜けるような、ぞくっとする落ち着いた男の人……特有の声。
(生徒同士だったら……?)
私の体は硬直したように暫く動かなくなっていたけど、ようやくこの状況についてぐるぐると思考が働き出す。
何でこんな体勢で、何で先生がそんな事を言うのか……線が繋がってゆくのと同じ速度でトクントクン、鼓動が早まる。
今の先生の顔が見たくなり、
そっと体を起こそうとすれば……
それを止めるように先に背中に腕が回され、私は大きく目を開いた。
密着するぬくもり。
「……こんな間抜けな体勢ではなく、顔を見合わせて……貴方が誰に贈り物をされるのか……聞けたのでしょうね」
「先生……」
「聞いても宜しいですか?誰に贈られるのか……でないと、私は……」
嫉妬で狂いそうになります。
さぁーっ、と風が流れる。でも、風さえも通り過ぎる隙間さえなく寄せ合ったお互いの体。先生の鼓動の音も風のような自然なリズム。でも、背中に回された腕は力強い。
クリスマスまで内緒にしておくつもりで、驚かせたかったのに……
(つい期待してしまう……)
先生だって告げれば、
先生はどんな言葉をくれるか……
目の前の藤色のネクタイ。
それを手でそっと押して、
少し隙間を作った。