第253章 『一周年記念作品』※告白シチュエーション①
そして放課後___
『変な噂。それを聞いた政宗は胸騒ぎを覚え放課後、下駄箱へ直行。下校していく生徒を横目に追い、弓乃の姿を探すが一向に現れないまま……時間だけが過ぎて行く』
ドンッ!
1年B組のクラス……私を取り囲む三人の女子集団。じりじりと窓際まで追い詰めると、真ん中に仁王立ちしたボス的存在である築城先輩が気取った仕草で髪を横に流してニヤリと笑う。
「強情な女ね。早く貸しなさい」
「離してよっ!!先輩だからって調子にっ……あ!!」
例え先輩でも、こんな状況で敬語なんか使ってられない。私は、取られまいと必死で守っていた携帯。けど揉み合いしている最中に奪われ、「返してよっ!!!」教室に響き渡るぐらい大声で叫ぶ。
「すぐ済むから、喚かないで下さる?」
「……送信っと!!」
「シンプルで良いんじゃない!……ははっ!後輩の癖に政宗くんの彼女になろうなんて、百年早いつーの!」
見せられた携帯画面。
グッと歯を食いしばって耐えようとしても……
『別れて下さい』
そう打ち込まれた、
メール画面がみるみる霞んで……
「あらぁ〜。貴女でも一応泣くことあるのね?ごめんなさいね〜この子、一年の頃からずっと片思いしてたから……」
どうしても許せなかったんですって?
(こ、んなっ…嫌がらせ…っ!)
吐き気がするぐらい、猫撫で声に苛立ちと悲しみと悔しさと情けなさが襲う。数日前から始まった嫌がらせ。絶対に負けないって意気込んで耐えた。
けど……
ピロンッ。
「ちょっと!返信きたよ!」
「……『わかった』だって!ほらぁ〜やっぱあんたのこと、大して好きじゃなかったのよ!ははっ!」
築城先輩の隣で、二人の先輩がお腹を抱えて笑い出す。腹立つのに、「そんなことないっ!」って普段の私なら言い返して、取っ組み合いの喧嘩してた元気はあったのにさ……
(……わか、っ…た……だけ?)
熱くなる目頭。
そこから床にポタリと落ちる涙を……
見ているので、壁に全体重を預けて……
立っているので精一杯だった。