第253章 『一周年記念作品』※告白シチュエーション①
告白したのは自分から。
政宗先輩の返事も「わかった」だけ。でも、付き合えただけでオッケー貰えただけで馬鹿みたいに舞い上がっちゃってさ。
愕然として……
何も言葉が出てこない。
「はい。もう、必要ないから返してあげる」
トンッ!
胸に突き返すように渡された携帯。
いらないのはこっちの方。
そう言えたら楽になるかも。
なのに唇が震えて、それを噛んで押さえてるから喋れない。
「ほら!受け取りなさいよっ!」
ドンッ!
今度は強く肩を押されて、流石に限界がきた私は引っ手繰るように携帯を受け取り、ググッと今ある感情を全部そこに込めた時。
ピロンッ。
『らしくねえな』
届いた一件のメール。
その文字を見て、
スルッと涙が画面に落ちた。
「ま、政宗くん!!」
「い、いつからそこにっ!」
近づく足音。
「別れたからな。言いに来てやった」
政宗先輩の言葉を聞いて、上げかけた顔をまた下に向ける。
「あら?何を?実はあまり好きではなかった……とか、かしら?そんな酷なこと今は言わないであげたら?」
クスッと、
馬鹿にしたみたいに築城先輩は笑う。
すると、頭にぽんと乗った軽い重み。
「らしくねえな。……いつもなら嫌味の一つぐらい言い返す元気あんだろ?」
まぁ……
偶に、しおらしいのも……
「……俺は好きだけどな」
え……。
顔を上げるより早く、後頭部を掴まれて……気づいたら目の前には白いシャツ。固い胸板が頬にあたって、嘘みたいに涙が引っ込む。
「ま、政宗くん……」
「邪魔だ。……出てけよ。……今からこいつが返事するまで……」
口説くからな。
パタパタと走り去る足音。
「政宗…センパイ……」
呼んだ声は自分でも驚くぐらい、
女の子らしい声。
「……ったく。一人で抱えやがって」
クイッ。
掬い上げられた顎。
フッと細くなった蒼い瞳に、全部持ってかれる。
ドキドキとか、もう何が私の中で鳴っているのかわかんなくなるぐらい……
「……惚れた女。そう簡単に手放すかよ」
良い返事、早く聞かせろ。
政宗先輩からの告白に、
目を閉じて応えるので精一杯だった。
〜fin〜