第252章 『一周年記念作品』学園祭♡一日目(前編)
素早くひまりの背後に回り、思春期男子の妄想をこれ以上広げないように口元を覆って防ぐ。
「そうゆう可愛いこと言うのは、俺の前だけにして」
「んぐんぐっ///」
家康の囁き声はそれこそトロトロ。
頼むから営み最中のベットの上にして欲しいと。至ってひまりがそんなつもりで話していないのは百も承知で願う。
(何か変なことでも言ったのかな?)
口をもごつかせながら、この場は取りあえずコクコク頷くひまり。そそくさと会場から数人男子生徒が出ていくのを目撃した信長は、フッと笑った。
会場にムンムンとした熱気が立ち込める。ひまりの言葉にすっかり放心状態になっていた佐助。
「大っきく…いっぱい…固い…中……?で…ぎゅうぎゅうですか??」
「み、三成くん。その部分だけ繰り返すのや、やめない?ほら、次!そう次!弓乃達の番でしょ!?」
たまに出すピュア天然全開を始めた三成がこれ以上暴走しないようにやんわりと止め、副部長は司会者そっち退けで進行。
ホワイトボードとずっと睨めっこしていた弓乃はハッと顔を上げる。意識が今、繋がったように「いけ!ジャーンッ!!」と、政宗を忘れて先に出す。
「ったく。……おっ!揃ったじゃねえか!」
「朝からバイク『ピカピカ』に磨いた話、何回も聞いたからねっ!擬音語、それしか頭に浮かばなかったのよ」
得意げに鼻をあげた弓乃。
「俺は真新しいって意味で書いたけどな……まぁ…強い輝きみてえな意味も少なからずは……」
恐らく、最後の部分を聞き取れたのは日頃から政宗の声に研ぎ澄まして聞いている弓乃だけだろう。
他の者は……
「ひまり。もう一度理由を言ってみろ。今度は、間延びしたような猫なで声で、な」
「『気持ちが良い』それも、何処かに織り込むと良い」
疑問符を頭に貼り付けたひまり弄りと、ムスッとする家康がいつ切れるかと冷や冷やしていた。