第252章 『一周年記念作品』学園祭♡一日目(前編)
ジャジャジャ、ジャーンッ!
流れ出したまるでレースのスタート合図のような効果音。リズムに合わせて、家康は平然とした態度でホワイトボートを見せる。その反面、「うーん……」ひまりは自信が無さげにおずおずとホワイトボートを顔の前に上げた。
「「「なっ!!!/////////」」」
観客席にいたお年頃男子は瞬時にホワイトボートに書かれた二人の文字を見て何かを連想、想像してしまい……ごく自然のように反応する体のある部位をコッソリ押さえる。
「ほぉ〜……貴様ら、繋がりたいのはどうやら心だけではないようだな」
愉快なようでいて、底には苛立ちに似た圧も感じるような口調でそう話す信長。二人が書いた文字は、ただの珍回答では済まないようだ。
「俺なりに(ひまりとの)甘い関係(時間)を表現したつもりですけど?」
しれっと答える家康。
「私もラブラブを言い換えたら、こんな感じかなって……えっ?家康は何て書いたの?」
ひまりは、ひょこっと列から顔出す。
まだ互いの回答を見合ってなかった二人。家康の回答は『トロトロ』ひまりの回答は『ぎゅうぎゅう』
(……嫌味の意味わかったかも)
(トロトロ?とろとろ?蜂蜜みたいに甘い感じってことかな?ふふっ!ちょっと嬉しいなぁ)
信長の言葉の意味を理解して横に視線をズラした家康とは違い、嬉しげにこやかに笑うひまり。
「ひまり。何故そう書いた?」
「えっと……『大っきく』なっても私達には思い出が『いっぱい』詰まってて……『固い』絆で心の『中』まで『ぎゅうぎゅう』に結ばれ……ん、んんぐっ!!」
「それ以上、言わなくて良いからっ///」
次から次に出てくる無自覚天然ワード。それに居たたまれなくなった家康は珍しく慌てる。