第252章 『一周年記念作品』学園祭♡一日目(前編)
すると信長が莫大な金銭を掛けた仕掛けが発動。ランウェイに丸い穴が空き、そこから一つの影が煙の中に現れる。
誰も咳き込まない所からして、恐らく煙の正体はドライアイスを使った演出なのだろう。その証拠に熱気に包まれていた会場に心なしかひんやりとした空気が流れた。
白煙りも次第に晴れ……
「豊臣秀吉さんです!!」
「「「きゃーーー♡」」」
「「「プリンス様ーーっ♡」」」
ランウェイ上に登場した人物に女子が今にも卒倒しそうな悲鳴に似た歓声を上げると、秀吉はそれに応えるようにまとわり付く煙を払い、最後に整えるように爽やかに髪をかき上げれば……暫くして何人かの女子生徒が担架で運ばれていく。
「普通に登場出来ないワケ?」
「ふふっ!」
「秀吉先輩が道着を肌脱ぎしてるのは、ファンサービスか?」
「逞しい片腕だけとか!出血大サービスね!」
「豊臣くん、相変わらずね」
「髪を掻き上げるだけで女性の方に安眠をお届けできるとは…流石、秀吉先輩。本当に尊敬します」
若干一名果てしない勘違いをしている中、ルール説明が始まる。ステージに一列に横並び立った六人は、佐助の言葉に耳を傾けた。
「お題はあちらのルーレットから三つ決めさせて頂きます。秀吉さんが矢を放ちますので、その質問の答えをホワイトボードに書き込んで下さい。見事合えばリンク成功!」
三つの質問に対して、カップルがそれぞれ自分の考える答えを発表し、答えが一致したらポイントゲットという至ってシンプルな流れだ。
正解したら、10ポイントずつ獲得。同点の場合は、サドンデスに持ち込まれる。最後一位になれば、100ポイント、二位は50ポイント、三位は30ポイント加算。
そこまで佐助は説明すると、怪しい光を眼鏡のフレーム端にキラリと輝かせ……
「サドンデスになった場合の質問は、こちらで用意してありますので」
無表情の奥に秘めた笑み。
まるでサドンデスに持ち込まれるのを、期待しているかのように思えた。