第252章 『一周年記念作品』学園祭♡一日目（前編）

突然参加で申し訳ないと、ペコリと頭を下げれば会場にいる生徒は皆、温かい気持ちを持ち合わせた者ばかりで、盛大な拍手が贈られる。



ジーン……



「苺さ…じゃなかった！いっちゃん！こんな所で泣かないで下さいねっ」


「う、うんっ。後で、たこ焼きとセクシーくノ一衣装を宅配で送ってくれるみたいだから、頑張るっ！」


意味がわからないことを述べ、

シャキーン！と、太腿の付近からくノ一の定番武器、苦無（くない）でも取り出したのかと思えば何と手に持っていたのは一本の筆。


サササッ……メモに素早く文字を綴り、それをしほに渡す。

意思疎通電波は強いようで、
二人は頷きあうと……



「ではっ！入り口にご注目！幼馴染歴は苺ポッキーより長いこの二人！」



そりゃそうでしょ！と、自称いっちゃんの突っ込みどころ満載な台詞もスルー出来るスキルを持ち合わせたしほが続く。



「付き合いが長いからこそ心のリンクもファッションリンクも期待大！もはや学園一、羨むカップル！」



（これは、見事な名コンビだ！）


佐助の眼鏡も思わずずり下がる程、
呼吸も動きも揃えた二人。


「「徳川い、い、い、家康さんと姫宮ひまりちゃんペアーー！！」」


どもる箇所までピッタリだ。
しかし、手を向けた方角だけはバラバラ。


（ふんっ。気が合うのか合わんのか、分からん奴らだ。………来たか）


司会者二人には訝しげな表情をした信長だったが、壮大な歓声を浴び入り口に立つ二人に向けたのはどこか柔らかで、温かみのある眼差し。


「きやーーっ！！///」

「うぉーーっ！！」


一斉に会場を埋め尽くした黄色い女子生徒の声と、男子生徒の萌えを吐き出すような雄叫び。