第252章 『一周年記念作品』学園祭♡一日目(前編)
それから、それから……
相手もいないのに全身ブランドコーデの築城が一人でランウェイを歩き出したり、何故か先生同士のカップルが乱入したり、参加したものの直前で尻込みしたカップルなどが続き……
順位は政宗、弓乃ペアが一位。
三成、副部長ペアが二位のまま続行。
そして、いよいよ!
誰もが待ち構えていただろう。
あの二人の登場を。
その証拠に冷静な佐助さえ額から汗をじんわり浮かばせ、しほは緊張かそれとも心の準備がまだなのか……膝や肩をガタガタ震わせる。
「さ、佐助せんせいっ!わ、私が呼んでも良いんですかっ!?」
「君しか出来ない!……頼んだ」
「で、で、で、では、さ、最後のカップルは『ちょっと、待ってーーっ!』……へっ!?その声は!?」
どもる声に被さったお間抜け声。
しほは咄嗟に構えた。
「え!?真っ暗になったよ!?」
「な、何だっ急に!」
突然、照明が消え……
会場全体がパニックに陥る。
パンッパンッパン!!
ランウェイ入り口になっている正面とは別の体育館入り口に向けられたスポットライト。
一斉に視線が注目。
しかし声の主は……
トントンッ。
「きちゃった!」
「わぁっ!!」
全く関係ない司会者席の背後から現る。ある程度は身構えていたが背後を取られ……しほはギョッとして後ろに飛び退く。すると、そのタイミングでパッと照明が点灯して、声の主の眼鏡がキランッと光った。
「い、苺さ…んぐっ!」
「しーっ!今日は、ドン引き覚悟で来たチキンだから!苺が大好きいっちゃんでお願い奉る!ニンニン」
しほの口を押さえ、人差し指を口前で立て、最後に忍者ポーズを繰り出した自称いっちゃん。
「ほぉ…妙な女が増えたぞ」
「あの渦巻き眼鏡。何処に売ってるんだ?」
「くくくっ…あの女、くノ一の衣装。裏表反対になっているのに気づいていないようだな」
飛び入り参加で、
司会者がもう一人増えることに。