第252章 『一周年記念作品』学園祭♡一日目(前編)
それは観客席に居た女子も同じ気持ち。どうか、そのステージに立てない非リアの自分達に心に潤いと栄養を!と、ドキドキワクワク求め……
(ごめん!弓乃!一瞬だけ、脳内変換させて!)
(政宗くん!とびきりの頼んだよっ!)
祈るようなポーズをとって、
目を閉じた時。
「仕方ねえな。……聴かせてやるよ」
その台詞が会場に響き……
ゴクッ!
息を呑んだのは弓乃とマイクを向けたしほ、会場にいる女子生徒。
(落ち着け私っ!!)
近づいてくる青い瞳。
シルバーアクセの青い石が目の前で揺れ、弓乃はグッと拳に力を入れると政宗はボブヘアーの茶髪を少しだけ親指と人差し指に挟む。そして、数回……弄ぶように指の腹で擦り合わせると……
はらり。
「……ただし、優勝した後にな」
弓乃に向けて告げた、低く抑えた声。
きゅん。
「ま、さむ……ね」
思わず乙女心が震え……
トロンとした表情が浮かびかけた時。
「ぬぉおお!これは上級者テクだぁあ!!」
大絶叫が会場を震わせた。
「成る程。……つまり、優勝しないと聞けないぞ?わかっているのか?優勝するしかないんだ!胸きゅんするには!!……と、言うことだね」
「さぁ!二人のリンク度はいかにー!!」
ムードをぶち壊して、眼鏡のフレームを目に見えない速さで何度も持ち上げながらステージに注目する司会者二人。やはり、ツボは似ているようだ。
そして、表示された数字を見て……
「「「おーーっ!!」」」
沸き立つ観客席。
「80パーセント!!きたー!」
「少し双子コーデ感が出過ぎたようだね。しかし、素晴らしい点数だ」
審査員にいる三人に、ちゃっかり残りの20パーセントの満たなかった部分を聞いた佐助。しかし、盛大な拍手を二人には贈った。