第252章 『一周年記念作品』学園祭♡一日目(前編)
会場となった体育館。
既に中は、満員御礼状態。
通常の学校の約二倍はあるであろう膨大な広さを誇る体育館。天井は吹き抜け、ずっと上の方までガラスの壁が続き、普段であれば陽光が燦々と降り注ぐのだが……
今は暗闇に包まれていた。
まるで、アイドルのコンサート会場さながら設置された照明、音響、真ん中にはおおがかりな仮設ステージ。
たかが学園祭、されど学園祭。
二日間の為にわざわざ照明スタッフや音響スタッフまで雇われ、生徒の心に残る感動的な思い出を作り上げようとしていた。
「少しやり過ぎでは?」
戦国学園の制服に身を包んだ、三年生の秀吉は想像はしていてもいざ会場を見渡し、少々驚きを見せる。
「くくくっ。秀吉、怖気付いたのか?明日はこれより盛大にやられるそうだ」
「ふっ。明日は明日で違う楽しみがあるからな」
揶揄う白衣姿の光秀。満足げににやりと笑う高級スーツ姿の信長。
三人が座っていたのは、
ステージ上にある審査員席。
信長の右隣には秀吉。左隣には光秀。
そして審査員席の隣には、司会席が設けられそこに立った二つの影。
キランッ!!
眼鏡のフレームから銀色の光が放った瞬間。
パッ!パッ!パーンッ!
効果音と共にステージだけを照らした、スポットライト。
「これより戦国学園祭、一日目カップルコンテストを開始したいと思う。先に、司会を担当する俺のサポート役の彼女を紹介する」
ライトを浴びた佐助が眼鏡をクッと押すと今度はドラムマーチが鳴り響き……
ダッラララララッ!!
ジャーンッ!!
「しっほー!サポート役を務めさせて貰う、しほであります!どうぞお見知り置きを!!」
どこからか現れた謎の女性。
佐助の隣に立ち、伊達か本物か?眼鏡をキランッと輝かせた。
「一日、よろしく頼むよ」
「ほ、ほいっ!」
二人が握手を交わすと、
会場内は盛大な拍手が溢れた。