第57章 風待ち月(6)
その日の部活終了後。
部室のロッカーにて。
私は買い物に付き合って貰う二人を、待たす訳にはいかないと思い、急いで着替えを済ます。
ずぶ濡れだった制服も帰る頃には、乾いていた。
嫌がらせは、全然平気。
なんてちょっと、強気な言葉を心の中で言ってみる。
忠告を何度されても私が家康と普段通りに過ごしてるから、余計にエスカレートしてるのかもしれない。
(急に避けたりしたら、余計に勘付かれちゃうしね……)
ーーひまりが邪魔なんて、思ったことないし!
あの言葉、素直に嬉しかったから。
でも今日は、三成君のファンクラブの子まで。
もしかして、朝の登校が原因かな?
下校は三成君別だもんね。
毎日、本屋に寄って行くみたいだから。
長い息を吐いた後、外に出た。
出口で一人待ってくれていた政宗に駆け寄って早々、家康は?と尋ねる。
「用事があるんだと。後で、追いかけるからって言ってたぜ」
「そっかぁ。手芸屋さんの場所なら家康知ってるから、大丈夫だね!」
用事って何だろう?
気になりつつも、急がないとお店が閉まる時間に。私は政宗と一緒に駅前にある店へと向かった。
暗くなり始めた頃。駅前には会社帰りのサラリーマンがほとんど。ビジネスバック、スーツ姿、携帯電話片手に早歩きをする姿。
休日は家族連れや学生、カップルが圧倒的に多いけど、今日は平日とあって人通りはまちまちだった。