第246章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(33)時が繫がるルージュ編
どうやって?キョトンとしながらも、触れられた部分から伝わる熱が、ドキドキと胸を騒がせ……何も答えれずにいると…フッて、目の前の口角に微笑が浮かぶ。
それから少しして……「鈍感」そう口ずさんで、私の近くからスッと離れた。
「……シャワー室。かなり奥」
「え!?奥!?」
扉を開けて、二人でちょっとした隙間から通路の様子を伺う。
「「しーっ」」
顔を見合わせて、人差し指あてて、一緒のタイミングで笑う。モデルがこそこそ忍者ごっこ。でも、楽しくて自然と和む空気と表情。
ふと過ぎる、
小さい頃にした隠れんぼ。
いつも……
「……行くよ」
ーーほら、こっち。
家康の背中に守られていた気がする。
あの頃は、体の大きさが同じで気づけなかったけど。
(ふふっ。今、気づいたよ?)
誰とも鉢合わせすることなく、
辿り着いたシャワー室。
「え!?な、なんで入ってくるの///」
「……なら、何?外で待たす気?」
余分のスペースがない脱衣場。
洗面所とカゴが一つ。窮屈じゃないけど、決して広くはない。腕を伸ばして押し合いするけど……
「な、なら!せめて後ろ向いてて!!///」
「……今更。ってか、一緒に入るつ……「絶対、無理っ!!///」」
何で?ちょっとふて腐れた声に負けじと、何でも!と、言い返すと長い溜めがあった後に黒い着物の後ろ姿がこっちを向いた。
(あ……脱ぐの忘れてた///)
もうすっかり原型がなくなったストッキング。つい色々思い出して、少し恥ずかしながら脱いでいると……
「……そう言えば、クリスマス。……どっか行きたいトコある?」
背中から届いた声。
「……クリスマス??」
「来月だし。予備校休みだし。部活も休みにするつもり」
「ふふっ。それは、人混みが多い遊園地に行きたくないから他にしてって意味??」
遊園地?訝しげな声が今度は届く。