第246章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(33)時が繫がるルージュ編
六人で行ったハロウィンイベントの遊園地。その時に、鏡のアトラクションでスタンプラリーで貰った景品。
ーー凄い〜!クリスマス特別、大観覧車乗車券だって!
ーークリスマスって……今日より、人多そうだし。
小指を出して「約束ね!」って、言ったら「お嬢様の申し付けなら、なんなりと」溜息吐きながら執事モードで約束してくれた。
その事を話すと……
「………………そうだったね」
返ってきた家康の声。
「もしかして……忘れてた?」
一分にも満たないその僅かな間だった。なのに、私の頭の中では一時間にもそれ以上にも感じて……ちょっと不安になり、パーカーを脱ぎかけた手を止め振り返る。
「忘れてないよ。……あの時も……パレードの案内放送のお陰で……ひまりにイタズラ。最後まで出来なかったし」
「もうっ!そんな事はしっかり///」
「あの日。おじさんに健全な付き合いしてくれって言われて……持ち歩くのはやめたから」
それが、俺なりの健全。
「……なら、また入場チケットだけ用意しとく」
動いた背中。
翡翠色の瞳は私を見て、
目が合ったのに……
何で……
こんなに胸が騒ぐの?
「家康……?何でそんな悲しそうな目してるの?」
気づいたら口はそう動いてた。
「……別にただ………ひまりにウサギの耳つけられたの思い出した。っとに、二人で行く予定だったのによりによって三成らはいるし」
最初の落ち着いた声のトーンが打って変わって、後半はブツブツ文句。
私はホッとして……
「ふふっ。クリスマスは、サンタコスイベントやってるかもよ?」
「良い子にしてないと、プレゼント。届かないかもね?」
「はーい!ふふっ。でも、一緒に過ごせるのが一番のプレゼントだから……」
や、く、そ、く!だよ!
満面の笑顔を見せてから、
くるりと背を向けパーカーを脱いだ。
だから……
「……っ!!」
この後、家康の背中が大きく動いたのも、何も知らずにシャワー室に足を踏み入れた。