• テキストサイズ

イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第246章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(33)時が繫がるルージュ編




それから、ポスッと私にパーカーのフードを被せると……


「……間違えても良いから。……あの時、そう言った」


「え?……そんな事、言ったの?」


家康は撮影の時とは違って、私を正面からふわっと抱き締める。顔を上げたくてもフードの上に乗った軽い重みで動けなくて、もぞもぞしてると生地越しに息がかかった。



「……俺は……間違えたから」



その言葉に身体が硬直する。



(……それって……もしかして、天音ちゃんの時のこと……)



「……でも、どっかでひまりは間違えない気はしてた。撮影中は、気づかなくても……」



撮影中じゃないひまりは。



「家康……」


「ほんと、勝手だけど。そんな自信はあったから」



どうしようもない……まるでその言葉がそのまま声になったような、そんな口調。そしてその声を耳が拾い終えた時、背中に回っていた腕に一気に力が入ったのが伝わる。


私はふと心にある何かに気づいて、それが凄く不思議な感覚がしてそのまま動けずにいると……



「……俺の怪我は日にち薬。けど、心に一度付いた傷は……」



一生消せないし、治らない。



瞳だけが大きく見開く。さっき感じた不思議な感覚の正体がその一瞬で……心にストンと落ちるように沁み渡って広がって……



「……そ、かぁ……だから……」



ポツリとそう呟きながら、私はそっと目の前にある家康の胸元に触れる。ひまり?そう不思議そうに名前を呼ばれるまで、私は大きく瞳を開いたままやっと瞬きをすると……



(痛くない……)



家康の鼓動を聞いていた手を、
今度は自分の胸に当てた。





/ 1793ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp