第56章 風待ち月(5)
手紙と黒板事件があったその日から、少しずつエスカレートし始めた嫌がらせ。
「カレーの隠し味と言えば、チョコかな?」
「いや、やっぱりニンニクでしょ!」
ゆっちゃんと野外活動の話で盛り上がりながら、階段を降りていた時
ドンッ!
「だ、大丈夫!ひまり!」
「う、うん!ちょっとぼっーとしてたから」
誰かに背中を押され、転倒しそうになったり。
掃除の時間。
庭にいた時だった。
「目障りなのよ!」
「三成君に近づかないでよ!」
バシャ。
バケツに入った水を浴びせられ。
ついに家康だけじゃなくて、三成君のファンクラブの子達からの嫌がらせが始まって。
「ひまり!制服は!?」
「ちょっと、ホースで水浸しにしちゃって」
体操服に着替えた私。クラスの子達に心配かけたくなくて、ドジだから本当に困るよね。と、私は笑った。