第244章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(31)時が繋がるルージュ編※R18
逆上せたようにぼっーとした頭。
昇りつめる快楽を受け止める度に、私は普段なら恥ずかしくて絶対出来ないようなことを……
でも……
でも……
家康にも気持ち良くなって欲しい。
それは、いつも思っていたから……
ぎゅっ。
ふわりと頭と肩を抱かれ、
翡翠の瞳に顔を覗き込まれる。
「……持ってないから……抱けない」
家康は目尻を朱色に染め気まずそうにそう言って眉を寄せるけど……視線は逸らさずにじっと私の瞳を見て、コツンとおでこをくっ付けた。
(持ってない……?)
肩で息をして、胸を上下に揺らしながら思考を呼び覚ますように動かす。
相変わらず鈍感な私。
家康の言っている言葉の意味を理解するのに少し時間がかかって……
(持ってない……から……………つ、まり……///)
そしてちゃんと理解した瞬間、多分……表情に出たんだと思う。瞬きを一つすると、家康は途端に長い指で目元を隠して……
「はぁ……ダッサ……」
頬を掠めるサラサラの髪。
ぽつりと落とした溜息交じりの声、
視線がそれを教えてくれる。
「え///あ、…あの…も、…持って…な、…い?」
私は返答に困った。「持ってない」の意味する物を口には出来なくて合っているか自信なさげに声を不自然に大きくなったり小さくなったりして、たどたどしい音調で聞くと……
指と指の隙間から、
恨めしそうな目がこっちに向いて、
「……聞き返されると、ツライんだけど………あぁ、もうっ」
おでこから、おでこが離れた瞬間、後頭部を引き寄せていた手も肩に回ってぎゅって……ぎゅっーって、息が止まるぐらい家康は私の頬を自分の左胸に押し付けるように強く抱き締めると……
抱けない訳じゃない。
本当は抱きたくて堪らない。
正直このままなのも辛いけど……。
でも……
言葉を区切った後。
「ひまりに、辛い思いとか不安な思いとか絶対にさせたくない」
ぎゅぅっ。
顔は見えなくても……
真剣な声でちゃんと、伝えてくれる。