第244章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(31)時が繋がるルージュ編※R18
火照った素肌に回された腕。
ドクンドクンッ……。
左胸から伝わる鼓動が、
私と同じくらい早くて熱い。
「あんまり可愛いから、一瞬。……止まらなくなりそうだったけど」
ーーひまりっ。俺もうっ……。
あの時の苦しそうな表情を浮かべていた理由が……今、わかった私は……心が震えだしたように、呼吸も震えて……その震えを止めるように、家康の背中に両腕をしっかり回す。すると家康は胸を少し膨らませて、それをゆっくりと息を吐いて元に戻しながら……
「今も全然、熱なんか治らない」
けど……
噛みしめるように言葉を繋ぎながら、私を抱く腕に力をこめていく。
ここまでして、こんな状況で、
言うのも何だけど……って。
自分達はまだ高校生。
間違うこともいっぱいあるけど……
だからって、その場の雰囲気に流されて大事なことを忘れるような間違いは良くないからって。
「……欲しい。俺はいつだってひまりが……こうやって肌を重ねれば、重ねる度に無茶苦茶にして壊したくなる時もある」
自分をどこか責め、
切迫したような声が耳に届く。
家康はそんな言葉とは正反対のように、まるで壊れ物を扱うような……指先でそっと私の頬に触れる。
「い、えやす……」
「でも、傷つけたいとかそんな意味で壊したい訳じゃない。ただ……」
時々……
俺の事しか見えなくなるぐらい。
俺でいっぱいにしたくなる。
「それぐらい。本気で。……かなり重症なぐらいひまりのこと……」
好きだから……
普段は軽々しく口にしない言葉。
だけど……でも……
ちゃんと大切な事を伝えてくれる時は、ビックリするぐらい直球な言葉を家康はくれる。
それが、今で。
私は嬉しくて……
嬉しくて……
次の瞬間、胸の奥に心の中がじんわりと暖かくなるのを感じた。