第244章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(31)時が繋がるルージュ編※R18
メイクルームと同じような作り。
でも広さは半分くらいで……
「誰も……いないのかしら?」
ノックをしても応答がないため副部長が扉を開いて、中に入る。私もその後ろから足を踏み入れ、力が尽きたようにソファの背もたれに身体を沈める。
「すぐ、徳川くん呼んでくるから!」
そう告げて脇目も振らず鏡の前に私が持っていたルージュを置くと副部長は控え室から出ていって……バタンッ!勢い良く閉めたのがわかるぐらいドアが、背後で大きな音を立て……
その衝撃か風圧か……
鏡の前のルージュが揺れ、コトッ……蓋が開いたまま今の私みたいに横向きに倒れるのが見えた。
(この香り……)
緑色のソファから、
ほのかに香る家康の匂い。
(い、えやす…の…)
その香りに酔ったように更に頭の中がぼーっとして、真っ白になってゆく。
さっきから気づかないようにしていても、下着から溢れストッキングを濡らすモノに知らないふりするのはもう限界。
まるで家康に包まれているような錯覚に陥った私は……
(撮影にいかなきゃ……い、けないのに……っ…)
白無垢でも胸元だけが洋服になった、
ベアトップの和風ドレス。
脚を少し開けば、
裾が二つに分かれる。
(あつ、い……身体が……)
頭の中がとろんとして、恥ずかしい行為と理解していても、手は勝手に意思と関係なくそろりと下腹部の敏感な割れ目にむかっていき……
(んっ……)
思わず漏れそうになる声。
身体をコロンと扉側に向けて、「っ……」寸前のところで抑えた時……
コンコンッ。
え………。
副部長が出てまだ間もない。
もしかして、戻って……
そんな考えが過るよりも先に。息する暇もないぐらい早く、ガチャリとドアノブが回る音。
そして……
(う、そ……)
「……もしか、…して…ひまり」
黒地の着物に、サラサラの髪。
(こ、……な…いでっ…)
「一瞬誰かわか……っ!!」
大きく開いた赤い瞳。
その瞳がスッと私の下半身に向かって動いた瞬間、ぎゅっと瞳を瞑り、ソファから立ち上がった。