第244章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(31)時が繋がるルージュ編※R18
ビリッと身体の中に静電気が走ったような感覚。それに驚いたのが一番の理由だけど……名前もわからないような違和感がさっきからずっと付きまとっていた。
咄嗟に身体を遠ざけるようにして、
壁に寄りかかると……
「だ、いじょう……ぶ…」
無理やり笑顔を作って、
そう返事をする。
(なんで……?…)
自分の心に問いかけた私。
「どう見ても大丈夫そうじゃないよね。……ちょっと、待ってて。編集長に言ってくるから」
高熱におかされた時みたいに、一気に体温が上昇して頭の芯がぼっーとし始めて……
でも、それだけじゃない。
凄いゾクゾクしてきて……
呼吸もどんどん荒くなって、心臓が壊れるぐらい激しい動悸。
(……身体が熱い…だけじゃない…なんか変な感じがする…… )
ムズムズして少しでも気を抜いたらその場にペタリと座り込んでしまうぐらい、足元はふらふらだし、全身がふわふわする。
でも真っ白な着物ドレスを汚す訳にはいかないと、必死に壁に体重を預けて何とか立っていると……
「もしかして、ひまり!?」
前方から小走りする足音が聞こえたと思ったら、撮影の小道具で使われていたくまの縫いぐるみが視界に入り、そのままゆっくり上に向けると……胸にそれを抱っこした副部長が心配そうな顔で私を覗き込んでいた。
こんな近い距離になるまで気づかないぐらい……私は意識が朦朧としていて……
「副部長……はぁっ……」
「一瞬、誰かわならなかったわ!大丈夫!?……凄い、身体熱いじゃない!!休憩室みたいな所ないのかしら……」
「確かっ!控え室が男性モデルのメイクルームと休憩室を兼ねていると、以前の撮影の時に聞きました」
三成くんも駆け寄ってきてくれて、副部長と一緒に支えてくれる。でも、触れられるだけでビクビクと敏感に反応してしまい余計に歩きづらくなり、二人が気分を害さないようやんわりと断ると……壁を頼りに伝い歩きをして、控え室に辿り着いた。