• テキストサイズ

イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第244章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(31)時が繋がるルージュ編※R18




撮影が終わると___


「え!?信康くん!?」


スタジオにひまりの絶叫に似た声が響く。すると、周りにいたスタッフ達は軽く笑い声を上げながら平謝り。


「ごめん。……実は、編集長にスカウトされて」


「ん?もしかして、信康くんが来ていたのも知らなかった?この撮影は内緒にして欲しいとは頼んだけど、彼にラストカットに出ることは伝えてくれても構わないとは言ったんだ」


どっちも、聞いてませんっ!


ひまりが口を尖らせてそう言えば、編集長は申し訳ない気持ちになり、急遽変更になった理由とある話をしようとした時だ。



「ほらひまり、急がなくて良いの?さっき、早めに来て欲しいって言われてなかった?」


「次のヘアメイクと衣装替えは時間が掛かるだろうからね。ラストカットが終わったら、じっくり語らせて貰うよ」


編集長は意味ありげなウィンクをしてスタッフ達に十五分休憩するように告げると、書類を持って打ち合わせ用のデスクにいそいそと向かった。


スタジオから出た二人。


「なんか、狐につままれたみたい。家康も知ってたって事だよね?」


「ひまりは絶対気づくって、自信持って言ってたけど」


「……後で家康に謝らなきゃ」


しゅんと肩を落としたひまり。



「………謝らなくていいよ」


「え??」


「下手に謝って……撮影中、気まずくなったら困らない?」



信康は歩きながら、
ひまりに赤い瞳を向けると……


二人が喉を痛めてたこと。見た目だって違ったこと。周りが「家康」と呼んでいたこと。何より後ろ向きでガラス越し、その上、涙を流していたら判別などつかなくて当たり前だと慰める。



「それに、別に『何か』あった訳じゃないしね」



信康くん?

急に隣を歩く信康の雰囲気が変わった気がして、ひまりは足を止めかけると……


「ひまりちゃーん!」


「は、はい!……今、行きます!」


「じゃぁ、後でね。徳川に、俺は何も言わないから」



着物の裾を掴んで、
パタパタ走り去るひまりの後ろ姿。





/ 1793ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp