第244章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(31)時が繋がるルージュ編※R18
抱き締めたくなる時。
そんなの数えきれないぐらいある。
ーーあっ!
表情がパッと明るくなって、幸せをかき集めたような顔されたら、俺まで浮かれて嬉しくなって……
その瞬間から抱き締めてる。
ーー……ちょっと寂しいなって。
心に風が吹くような、人肌が恋しそうな顔を見たら、俺までつられて心が締め付けられて……
ぎゅっと、腕を強く回している。
真剣な表情や仕草や動きでひとつひとつ一生懸命に取り組んでる姿は、俺の全部をくすぐって……
ーーすっごく頑張ったんだよ!
可愛くて堪んなくて気づけば腕の中に。
ーー………家康。
寄り添ってじっと上目遣いで見つめられて甘えられたら、俺の心臓なんかすぐに壊れて……
そのまま自然に身体も心も、
隙間なんてないぐらいくっ付いてて……
弱ってる時も泣いてる時も……
笑顔も寝顔も全部抱き締めたくて。
体温とか感触とか抱き心地とか……
ひまりはいつも違って。
表情が心まで映すから……
俺の心はどんどん欲がって。
抱き締めたいが
離したくないに変わり……
腕の中にずっと閉じこめたくなる。
ただの欲望、
それとも愛情なのか……
まだ、自分でもわからない自分がいた。