第243章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(30)時が繋がるルージュ編
昼休憩___
ひまり、家康、三成、副部長はスタジオビルの横にある喫茶店へ。編集長の奢りで四人は店の看板メニューになっているサンドウィッチにかぶり付く。
「ん〜〜この玉子サンドふわふわ〜ゆっちゃんも今頃、政宗とご飯食べてるかな?」
「案外、弓乃が食べられてたりして?」
「んぐっ!!」
「クスクスッ……ほら、水」
大口を開いてサンドウィッチを口いっぱいに頬張ったひまりは、隣に座る副部長の言葉に喉を詰まらせ……
手渡された水をゴクゴクと、
飲み干す。
「……ぷはっ!もうっ副部長///まだ昼間ですよ///し〜〜」
ひそひそ声で話すのには理由があった。待ち合わせに弓乃が遅れた理由……それはデート直前で勝負服に着替えた自分の姿を鏡で見て、あるコンプレックスに落ち込んだのが始まり。
「そんなつもりはも、勿論無いんだよっ!///」「ただ、ニットだといつもみたいに仕込めなくてさっ!///」
と、ハチャメチャな弁解をしながらも撮影前のひまりに電話して、相談に乗って貰っていたのだ。
ひまりの最初の言葉だけはしっかり聞いていた三成。
「政宗先輩と弓乃先輩は、本日一緒にいるんですか?」
顔だけ隣に座る家康のほうへ向け、頭に疑問符を浮かべる……無理もない。あの二人が付き合いだしたのをまだ唯一この場で一人だけ知らないのだ。
そこから説明する気なんてさらさらない家康は、テーブルの隅に手を伸ばすと……
「俺に聞かないでくれる」
辛子チューブを取りハムサンドの中にこれでもかって程、黄色の液体を流し込む。事情をひまりからそれとなくは聞き、あの後、すぐに弓乃が折り返していたことを知り、政宗が突然電話を切った理由は分かったが………
(……っとに、人騒がせな二人だし)
溜息をつく前に、かぶり付く。
まだ怪我が治り切っていない口角の傷。
そこに辛子の刺激が少しだけしみた。