第241章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(28)時が繋がるルージュ編
一階にある受付カウンターで名前と撮影のことを話すと、すぐに案内してくれて、エレベーターに乗り二階まで移動。
『時を越えるルージュ撮影スタジオ』
そうマジックで手書きされた縦長のホワイトボードが置いてある扉を開いて、中に入ると……
「凄い!本格的ね!」
「最初あの傘を見た時、どんな役目があるのかな?ってすっごく不思議で!」
真ん中には撮影背景のバックペーパー。両サイドにはスタンドに立てられたアンブレラ。レフ板に照明が数台。
目に飛び込んで来た撮影セットに、私と副部長は口々に話す。
「本格的って……今から撮影するんだし、当たり前……」
「時先輩は好奇心旺盛な方ですね。目がキラキラと輝いていて、とても綺麗です」
「お前もついでに間近で撮影して貰えば?フラッシュで目がチカチカ輝くかもね」
「それは良いですね!ぜひ、お願いしてみます」
表情一つ変えないでそう言う家康に、三成くんもエンジェルスマイルを一切崩さない所が凄い。
思わずはにかみ笑いをしていると、私達に気づいてくれたみたいで編集長さんは手を上げて、側に駆け寄って来てくれた。
「ひまりちゃんには美容雑誌の特集で使うピン撮影もあるから、宜しく頼むよ!ヘアメイクと衣装チェンジも今回は多いからね!」
「はい!頑張ります!宜しくお願いします!」
「……この前の話。忘れないで下さいよ」
「任せてくれ。ピンショットのアングルはなるべく正面は避けるよ。その代わり絡み撮影は、ガラリと雰囲気を変えて貰って、ばっちりカメラ目線を貰うよ」
私達は撮影の流れをざっと聞く。
まず、午前中の撮影は私のピン撮影のみで行われるみたいで、それが終了後に一度お昼の休憩が入って、午後からは家康と一緒に撮影。