• テキストサイズ

イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第240章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(27)時が繋がるルージュ編




昼休みが終わる15分前、お弁当を完食。二人は手を一緒に合わせてご馳走さまをすると、話をしながら時間を過ごす。


「ゆっちゃん、撮影日を聞いて凄く残念がってたんだけど。ふふっ、その日ね!政宗と初デートなんだって!」


「初デートって……店を手伝うのが?」


「女の子は、好きな人と過ごせたら何でもデートになるんだよっ!」



三成と副部長は予定通り撮影を見に来ること。佐助が戦国学園の卒業生かどうかの話。時折笑い合い、ときどき拗ねたり膨れたりしながら他愛のない時間を家康とひまりが過ごしているのを、信康は一切感情を閉ざしたように聞いていた。


二人の会話。それは、どこか遠くから流れる風の音のように……


ただ静かに時間が過ぎるのを待つ。



「あったかぁ〜い」


「そろそろ、デザート頂戴………『あっ!!』……って!はぁ……」



昼休みが残り少なくなり、家康は自分の胸に擦り寄る顔を優しく持ち上げ、花びらをくっつけたようにツヤツヤとした唇を頂こうとすれば、ひまりは目を閉じるよりも先に視界に何かを捉えサッと立ち上がり……



「……ねぇ!見て、家康!石碑にヒビが入ってる!」



石碑の異変に気付いた。「ここ!ここだよ!」ひまりが大騒ぎするのを聞き、信康は伸ばしていた脚を曲げその会話には聞き耳をたてる。


「……亀裂……風化したとか?」


「よりによって、約の字の上なんて……」


この場で思いを告げたあの日の放課後、二人で手を重ね、指を絡ませ、「約」の字をなぞった大切な思い出。


ひまりがしょんぼりした様子で俯むけば、家康はあの時のように後ろから抱き寄せ、約五百年前に立てられた石碑ならば色落ち、形が風化してくるのは決して珍しいことじゃなく寧ろ普通だと冷静に話すと……


あることに気づく。


「何か光って…………石?」


「え?どこ?どこ?……ンッッ!」


石碑に顔を近づける寸前で、家康は顔を傾けさっき食べ損ねた唇を霞めるようにして奪う。

最初は触れるだけ。


けれど、吐息をたちまちひまりが漏らせば……石碑に寄りかからせ、家康は呼吸が乱れるまで奪い尽くした。




/ 1793ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp