第239章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(26)時が繋がるルージュ編
文化祭前に、確か築城さんが信康くんと廊下で話をしている姿を見かけた事を思い出す。
まだ転校して来て日が浅いけど、仲良くなったのかな?
何て呑気に考えていると、
「の、信康くん!?あなた、いつ神木様とそんな仲になったのかしら!?」
「へっ!?神木様!?」
またさっきみたいに、ううん。さっきよりも凄い剣幕で目くじらを立てた築城さんのドアップが迫った。
するとゆっちゃんは私達の間に入って、「はい、近い近い!ストップ!ストップ!」大きな声を出す。まるでアイドルの出待ちをして押し寄せたファンの子を阻止する、警備員さんのような身振り手振りで築城さんの顔を引き離すと……
私のオデコをピンッ!と指で押す。
「ひまりは相変わらず、最新情報には疎いからね〜築城嬢は乗り換えたらしいよ〜徳川から神木くんのファンクラブ会長に!」
良かったじゃん!ゆっちゃんがそう言った言葉を被せるように、
「乗り換えたなんて人聞き悪い言い方はやめて下さるかしらっ!兼用よ兼用!!」
家康くんと信康くんのファンクラブ会長!!そうはっきりと言い放ち、ぱらりと頬にかかった髪を優雅な手つきでかきあげた築城さん。
すると、
ズルッ!!
それを、聞いたゆっちゃんは派手にズッコケて頭が痛そうにオーバーリアクション。
「兼用って……あの二人!性格真逆じゃないの!?神木くんは、優しいし、紳士だし?徳川は、捻くれ者だし、ひまり以外は全く見えてないし!」
「ゆ、ゆっちゃん!///き、聞こえちゃうよ!そんな大声で言ったら///」
窓際に家康がいるのにと、
おろおろしていると……
「第一は、見た目よ!お二人のあの素敵な顔立ち!性格は二の次よ!」
「顔ばっかり重視してるから、彼氏出来ないんじゃないの?」
二人はどんどんヒートアップ。