第239章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(26)時が繋がるルージュ編
スタイルも良くて、目も切れ長で、鼻すじの通って、口元の締まった気品が溢れた顔立ちの築城さん。
モデルさん要素がいっぱいあって背の小さい私とは違い、ぴったりっていうのが率直な感想なんだけど……
「貴方それ嫌味?目指しているんじゃなくて、なるのよっ!」
「嫌味なんてっ!築城さんならすぐにでも、なれそうだなぁって」
にっこり笑ってそう答えると……
ダンッ!
「そ、れ、が、嫌味になるのよっ!大体、撮影したの家康くんと付き合う前でしょ!?こ〜〜んなキス顔で、誘うなんて卑怯よ卑怯!」
逆に癇に障ってしまったみたい。もう、どうして良いのか、何を話して良いのか分からなくて私はただ苦笑い。
雑誌の端に書かれた『時を越えるルージュ』そのキャッチコピーの横に記載された撮影日をアピールするように、
「ココよっ!」
指先でチョンチョン押すと……
「幼馴染だし?仕方なく、百歩譲って認めてあげたのにこんなのフェアじゃないわ!私のキス顔なら、きっと瞬殺で家康くんの心を鷲掴み出来たわねっ!」
築城さんは雑誌をパタンと閉じて、胸に抱き、空中で何かを掴むように手を握った。
目を瞑りすぎとか、唇は薄っすら開けるほうがグッとくるとか、顔を上げる角度、男の子が感じるきゅんポイント重要だと、捲し立てるように早口で力説。
(てっきり、祝福してくれていると思っていたんだけど……違ったのかな?)
私は頷くことも相槌を打つことも出来ずに、その姿に圧巻され、ふとそんな事を思っていたら……
「へぇ〜。そんなどうでも良い話を口実に神木くんに会いに来たんだぁ〜なかなか、可愛いとこあるじゃん!」
「ゆっちゃん!」
背後からぎゅっと肩を抱かれ、驚いて振り返るとゆっちゃんは朝の挨拶をして、にぱっと笑顔。
口実ってどうゆうこと?
挨拶を返して真っ先に尋ねると……
「べ、別にそんなつもりじゃないわよっ!変な言い掛かりしないでくださるっ///」
築城さんはまるで図星を突かれたように落ち着かない様子で、雑誌をうちわのようにしてパタパタと顔を仰ぐ。
「ふーん。その割に顔赤いけど?」
「え?あ!もしかして築城さん、信康くんが心配で見に来たの??」
ずっと休んでいるから?