第239章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(26)時が繋がるルージュ編
もうすぐ予鈴が鳴るからね?ね?と、今度は私が二人の間に入って止める番。
だけど元々、ゆっちゃんと築城さんはあまり相性が良くないみたいで……
「あら?ちょっと自分に恋人が出来たから、そんな偉そうな事が言えるのかしら?」
「私は顔とか性格とかじゃなくて、好きな人になった人がタイプだからね!」
「貴方だって、最初は秀吉先輩の甘いマスクに騒いでいなかったかしら?で、その次だって人気のある伊達くんじゃない!」
「秀吉先輩は、憧れてただけでっ!ま、政宗はべ、別にか、顔で選んだ訳じゃないわよっ!///た、確かにっ……か、格好良いけど……」
男らしくて、料理が出来て、気配りも出来て……ゆっちゃんは恥ずかしそうにだんだん小さな声で話す。
「伊達くんもね〜〜……まさか…」
築城さんはゆっちゃんの胸元をチラッと視線を向けると、何故か首を数回だけ横に振る。
「な〜〜にが言いたいのよっ!この高飛車女!」
バンッ!
ゆっちゃんにはその意図が瞬時に分かったみたいで、バンバンッ!壊れるぐらい机を叩く。
「いえ、別に〜何か気に障ったかしら?」
「キーッ!人のコンプレックスをグサグサと…っ…」
「あら?グサグサ見るほど、あったかしら?」
「ゆっちゃん!落ち着いて!築城さんも、もうチャイム鳴るからね?また、信康くん来たら伝えておくからっ!」
「な、何を伝える気よ!」
「え?築城さんが物凄く心配して、様子を見に来てくれてたよ?って」
「「言わなくて良いっ(わよ)!!」」
見事にハモった二人の声。
私はキョトンとして助け舟を求めるように、窓際に視線を走らせれば……
バッ!!
家康と政宗はクルッと目が合う前に背中を向け、笑いを堪えるようにして肩を小刻みに震わせていた。