第239章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(26)時が繋がるルージュ編
あの事件から、三日後の今日。
織田先生が文化祭の次の日に配布したプリントのお陰で、特に騒ぎは大きくなることなくすっかり学校の雰囲気は通常通り。
私と家康が事件に関わった生徒だって知っているのは、空き教室に来てくれた秀吉先輩、政宗、三成くんの他に、ゆっちゃんと副部長の二人だけ。学校側としては把握していても、織田先生が色々と配慮してくれたお陰なのかな?特に他の先生達に聞かれたりすることはなかった。
ただ、やっぱり噂は一つぐらいはあるみたいで……
「徳川〜仲良く登校か?」
朝、登校して教室入るとクラスメイトの男子二人が寄ってくる。
「文化祭の時みたいに、痴話喧嘩して怪我するなよ〜」
「はぁー……はいはい」
すぐ隣から聞こえた、
家康のすっごい素っ気ない返事。
(また、話が膨らんでるのかな?)
私が他人事のようにクスリと笑うと、ムスッとした顔が覗き込んできて、暫く睨めっこ。
どうやら家康の顔の怪我の原因が、痴話喧嘩になっているみたい。何でも文化祭の時に、大学生のお姉さんに囲まれているのを誰かが見ていて、私が走り去る所までばっちり目撃。家康がその後を慌てて追いかけて、何処かで転んだかぶつけたかして怪我したって噂が広まりつつ。
(家康もあえて訂正しなかったから、そのまま噂が一人歩き。でも、ヤキモチ妬いて……までは、あってるかな?)
「その内、保健室で仲直りしてたって加わるかもね」
「え?保健室で??」
睨めっこをやめて、
私が目をパチパチすると……
家康は自分の顔をグッとさげて、
目線が合うと……
「……そ、保健室のベッドで」
意地悪な笑みを浮かべた。
………??
…………っ!!
「〜〜〜〜っ//////」
かぁっ///と、
一気に頭のてっぺんまで熱が沸騰。
「ぷっ。……反応遅すぎ」
意味を理解して口をパクパクしていると、満足そうにオデコを突っついて、窓際の方に家康は歩いていく。
(もうっ///そんな噂、もし流れたら当分学校に来れないよっ///…………………あ……信康くん。今日もお休みかな?)
自分の席に移動して鞄を置くと、隣の席をチラ見。