第239章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(26)時が繋がるルージュ編
制服に着替えて、
ピンク色のカーテンをサッと開く。
窓から差し込む光を浴びて、
思い切り深呼吸した今朝の私は……
ちょっと雰囲気を変えたい気分。
ヘアアイロンで全体をゆる巻きして、少し伸びた前髪を掬い、縦スライスでトップから毛束を取り、横に編み込んでいって、編み進めたら、顔側の編み目を引き出す。毛先まで編んだらゴムで結び、毛束を少し持ち上げて、耳の後ろ辺りでピンで固定。
持ち上げた毛束を、
下ろして馴染ませれば……
「出来た!前髪の片編み込みアレンジ!……う〜ん、もう少し伸びたらもっと大きめに編めるんだけどな〜……」
伸ばしてみようかな?なんて、少し考えながら、仕上げにお気に入りリップ。
鏡に映る姿。
笑顔、泣顔、困り顔……
得意顔、真剣な顔、怒り顔。
色んな表情が、
くるくる目まぐるしく変化。
自分が見ている姿と他人が見る"自分"は違うって誰かに聞いたことがある。
鏡が左右反転して見えているように、自分が鏡を通じて見ている自分の姿を左右反転した姿が、周りの他人から見えているのが本当の「自分」とか……なんとか?
なら……
「おはようっ!」
「……おはよ。……あ……」
前髪に向かって伸びてくる、
スラリとした指。
「……おでこ出てる」
「もうっ!いたぁーい」
ピンと軽く弾かれたオデコをさすって、
頬を膨らませる私は……
「……髪型。…可愛いのが悪い」
好きな人の瞳に、
少しでも可愛く映っているのかな?