第237章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(24)時が繋がるルージュ編※R15
あと例えば、今、着てるルームウェア。パステルカラーのモコモコパーカーにショートボトム。何気ない格好で今までも見られたことがあるのに……
「これ、触り心地良い。縫いぐるみみたい」
「くすぐったいよ///」
二人っきりの空間で肌触りを確かめるように腕のあたりを撫でられれば、思わずピクンッと身体が跳ねてしまう。
(もう、こんな時間……)
家康の胸に少し体重を預けるような体勢で、時計をふと見ると視線だけ上に向ける。
いつもなら、もう夕飯の時間。
「お父さんとお母さんも、家康のうちに居るんだよね?」
「四人でリビングに居たよ。何でも来客があるらしい。先にひまりの所に行ってるように言われた」
「来客?もしかして、あの他校生の親御さんとか?」
「多分、違う。父さんの話ではあの後、向こうとは大方の話はつけてきたみたいだから」
後は、弁護士さんを通して怪我の方のことは示談を進めるみたいで、それ以降は少年法に基づき不処分になるか保護観察処分になるか、送検されるかとかはまだ当分先になるみたいで……
「そっかぁ……」
「鍵を盗んで空き教室に不法進入。それも、罪に問われるだろうしね」
淡々と話す家康の言葉に私はただ耳を傾け、相槌を打ち、頷くことしか出来ない。まるで、テレビの中である刑事ドラマの話のようで、思った以上に深刻な事件だったことを痛感。あの時の弟さんの気持ちを考えると、気持ちが少し憂鬱になった。
「ひまりが、そんな顔しなくて良い。まだ、辛い?それとも何か引っかかる?」
「ううん。大丈夫。でも、家康の怪我のことは心配してるよ?モデル引き受けてたけど、大丈夫?」
私は体を起こすとそっと薄い唇の横の怪我に触れ、尋ねる。色の白い肌が少し切れ、その周りが紫色に変色。
そして私はまだ一度も見ていない、パーカーの下に隠れた傷。
見てないから余計に気になるけど、多分見てしまったらもっと心配になるかもしれない。そんな私の性格を分かっているからこそ家康は……
「……何?そんなに見たいの?……脱いであげても良いけど?」
その代わり…ひまりもね。
「私は怪我してな…っ…ひゃあ///」
「あんまり見えなかったから」
赤い下着。
話の焦点を切り替えたのかも。