第237章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(24)時が繋がるルージュ編※R15
マイルーム。
ピンク色と花柄のファブリックで統一した、ガーリー風の六畳間の部屋。
「ひまりの部屋とか。……久々だし」
「最後に来たのって確か……夏休みの終わりぐらい?だったよねっ」
グレーのパーカーを着た背中を見ながら、私は後ろ手と背中で扉をパタンと閉める。そして、ローテーブルの前まで移動すると床に置いてある花柄でハート型をしたクッションを一つ渡す。
家康はいつもクッションを座る為に使わなくて、ベットサイドと自分の背中の間に挟んで右足だけ曲げて座るのがお決まり。
「何で、そんなに離れてんの?」
「えっ///……それは、部屋が狭いからっ……そ、の…あんまり近づいたら、余計に狭く感じるかなって?」
そして、いつも私は左側にちょこんと座ってクッションを胸の前で抱っこ。でも、ぎゅぅっといつもより力が入るのは、ドキドキしている胸の音を聞かれたくないからかも?
「鏡、買って貰えたの、家康が勉強を教えてくれたお陰だよ?ありがとうっ」
「俺はちょっと教えただけ。……頑張ったのは、ひまり」
顔を横に向けてお礼を言うと、家康は小さい子をあやすみたいに私の頭に触れ……
「……良かったね」
急に至近距離で顔を覗き込んだ。
ドキッ///
間近に迫った、整った顔。
ばくばくする心臓とかぁっ///と熱くなる頬を自覚して、クッションに顔を半分埋めると……
「もしかして、寒いの?」
急に肩を引き寄せられて、
吐息が耳にかかる。
(うぅっ///普通にしてなきゃっ)
今まで意識してなかったことが急に意識するようになって、ドキドキしてしまうことがあるのを最近になって沢山知った。
例えば、今みたいに小さい頃から普通に遊びに来ていた幼馴染が高校生になって、彼氏になって……部屋に招いたのは自分なのに隣に座った途端……
そわそわして落ち着かない事とか。