第235章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(22)時が繋がるルージュ編
ただ、両思いであっても自分達はまだ正式な「カップル」ではない。副部長はどう突っ込めば良いのか頭を悩ませる横で、三成は真剣な表情を浮かべながら……
「最初は手を繋ごうかと思ったのですが……先程から髪を気にしてらしたので、ご迷惑かと思いまして。しかし、肩を抱くと言うのは必然と動きを封じてしまいますし……そう考えると、やはり手のほうが無難な感じもしてきました」
別のことで悩み、恥ずかしいがることなど一切なくそれを口にする。
(ダメね。完全に自分の世界に入っちゃったみたい。でも……)
「しかし、手を繋ぎながら紅茶を飲み話をするとなると、万が一、零してしまった時に反応が遅れてしまうことになり兼ねないかと……うーん。悩みますね……」
うんうん唸ってみたり、そうかと思えば顎に手を添え深刻に悩む姿に……
副部長はとうとう……
「ぷっ!!」
笑いそうになるのを口の中を奥歯で嚙むようにして堪えいたが、我慢できずに吹き出した。
「もう、だめっ。限界っ……そこを悩むの?…ぷ、っくく」
「何か可笑しな事を口走りましたか??」
メニュー表を机の上に置きお腹を抱えて笑いだした副部長。小刻みに震える肩を抱いたまま、三成はキョトンとして尋ねる。
「ごめん、ごめん。喜んで良いのか、突っ込んだほうが良いのか、よく分からなくて」
笑い過ぎて薄っすら涙まで浮かばせ、副部長は目尻を指で拭う。積極的なのは、作戦なのか天然なのか。
もはや謎めいていたが……
「三成くんの好きなほうで良いから、早く頼もう」
「カップル」という事を否定されるより、断然良い。胸が膨らむような心地良さを感じながら、副部長は満開まで近づいた想いに真っ直ぐ向き合いたいと望み……
三成の肩に頬を寄せた。