第235章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(22)時が繋がるルージュ編
アールグレイを二つ注文して、
暫くすると……
席を案内した店員がトレイにポットと二つの上質で白さが際立ったティーカップを乗せ、運んでくる。
「お待たせしました。ごゆっくりして下さいね」
営業感が感じない心からそう告げたように柔らかい笑顔を浮かべ、一礼して定員は賑わう店内へと戻って行く。
ティーカップから漂う、爽やかな香り。二人は冷めない内に口に運び、フレーバーティ独特の味わいを堪能しつつ、窓に視線を向けながらゆったりとした時間を過ごしていた。
ちょうどその頃___
そのカフェの近くにいたのが、家康とひまり。ショーウィンドウの中に居た編集長は、そこで待つようにジェスチャーで伝えると、急いでドレスショップから出る。
「ちょうど良かった!君達に連絡しようと思っていた所だったんだよ」
二人は顔を見合わせ、
何故、連絡??と表情に浮かべた時。
ガシッ!!
「せび、新色のルージュのモデルもお願いしたい!!」
「「え!?新色!?」」
思わず大きな声を出した二人。しかし、すぐにさっきの騒ぎを思い出すと慌てて口を覆い、周りをキョロキョロと見回した。編集長はまぁ、立ち話もなんだからと、詳しい話をする為に何処かに移動をしようと提案。
そして……
近場のカフェに行くことになり……
「あ!副部長と三成くん!!」
「……やっぱ、下心あったか」
カップルシートの窓越しで
「家康先輩とひまり先輩!」
「み、三成くん!肩!肩っ//」
四人は鉢合わせした。