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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第49章 「恋の和歌集(13)家康様編」




顔の上からコツンと音がして。
家康のおでこと、私のおでこがぶつかった。



「……本当に好きになった子しか、彼女になって欲しくないから」




家康の真剣な瞳。
鼻先が触れる距離。


ドキドキとチクリ。
胸が騒がしくなるのと同時に、胸がチクチクと痛む。


「そ、そっか。和歌もすぐに選んでたし、もしかしてもう、好きな子いたりして?」


知ってても何故か直球に聞けなくて……。態とらしくそう聞きながら、私は被っていた布団を剥いで、笑う。

もしそうなら、私もこんな風に一緒にいるの控えないと!
もし誤解されて、家康に迷惑掛けちゃうといけないし!

と、捲し立てるように早口で話す。


「もう!早く言ってくれたら……」


何で私、こんなペラペラ喋って。


「……何でわかんないの」

「え?だから、私がくっ付いて邪魔してると悪いから。これからは……」


控えるね。そう言うつもりだった。
笑顔で……。

でも家康の顔を見た瞬間、全部流れて行くように言葉が飲み込まれて。


(どうして……私、何か変なこと言った……?)


家康の顔つきが痛々しいぐらい歪んでいて……傷ついた。

まるでそんな表情をしていた。


電気が何の前触れもなく、点く。

急に視界がパッと明るくなって、目がついていけず一瞬瞼を閉じた……


次の瞬間、グラっと身体が後ろに傾いて……



「俺の気持ち、何でわかんないの?」


「え……?」


視界に家康の顔と、白い天井が映る。
両手が頭上で掴み上げられ、


「ひまりが邪魔なんて、思ったことないし!」


やっと、自分が家康に組み敷かれていることに気づく。
私は顔を横に逸らして、



「ちゃんと解ってるよ……」



私を幼馴染として大切にしてくれて。
だから、好きな子いても一緒にいてくれてるんでしょ?


口に出さない代わりに、そう問いかけた胸中が何故か痛む。



「わかってないから、言ってんの。だから、わかるまで……このまま、ずっと言い続けるから」



このまま離さないから。



「何で、俺の気持ちわかんないの?」



わかんないよ。

言ってくれないとわからないよ。


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