第228章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(15)
その背中を、
信康は何かを勘繰るように目で追った後。長机の上にトレイを置く。
「今の二人。どこの生徒か知ってる?」
プリンを販売していた女子二人は、その問いに顔を見合わせ、確かあの制服は弓道強豪で有名な男子校だと話す。
「さっきの人が弓道部とは限らないけどね!」
「あんな軽そうな弓道部員いないでしょ?」
「でも、徳川くん知ってたんだから。引退した三年生かもしれないじゃん!」
「そうかもしれないね。……プリンここに置いておくから」
信康はそのまま、
こっそり二人の後をつけた。
その頃、保健室にいた光秀。
書類を取りに職員室に向かっていると、体格の良い男子生徒が周りを気にしながら職員室扉から出てくるのを目撃。
(ん?……どこかで)
しかし、顔が見えたのは一瞬。
そして制服を見て、どこの生徒かはすぐに解り妙に胸騒ぎを覚え、距離をおいて後をつけていた時。
「明智先生。ヘマしちまって、消毒かなんかして貰えませんか?」
昇降口付近で軽い火傷を負った、グランドで焼きそば販売をしていた生徒と出くわす。
「わかった。付いてこい」
「すいませーん。鉄板でこう、ジュッとやっちまって」
話している間に、姿を見失い……
(一体、職員室に何の用事が……)
少し気になりつつ、手当てが優先だと判断して、白衣を翻し、保健室へと戻って行った。
その数分後……
魔女の格好して、頭に赤いリボンを着けた弓乃。騒がしい足音を立て、物凄いスピードで階段を駆け下り……
(政宗のばかっ……)
体育館へと続く、
渡り通路へと向かっていた。