第228章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(15)
『sengoku*お化け喫茶』
賑わうクラス前で、三人の男達は看板を確認すると、一旦その場を離れ、ひと気の少ない空き教室前に移動。
「下手に体育館や校舎裏に連れてくのは、目立つからな」
「ココ良くね?近いしよ。文化祭で騒ついてっから、ちょっとぐらい音たててもバレなさそ〜」
「問題は鍵だな」
扉の取っ手を掴みガタガタ数回揺らした後、チッ。短い舌打ちをして派手な音を立て背中を預ける。
「職員室。文化祭中で手薄の可能性あるかもな」
「ってか、彼女どうすんの?俺ら顔知らねえーし」
「秋季大会で……弟は、見たらしいけどな。……特徴でも聞いて探せ。弱みがこっちにあれば何かと有利だ」
男達は、二手に分かれる。
体格の良い男が鍵を取りに行き、二人が家康の彼女であるひまりを、探すことに。
弓乃が教室を飛び出す、少し前……
二人の男は、教室の中にいる可能性が一番高いと考え、様子を伺おうと、廊下を歩いていると……
廊下で販売するプリンを数十個トレイの上に乗せ、教室から出てきた信康と鉢合わせ。
二人の男達は、ギョッとして……
「徳川!!」
いかにもチャラい風貌の男は、咄嗟に名前を呼んでしまい、慌てた様子で口を塞ぐ。しかし、信康はその声にすぐさま反応して、
「徳川……?」
「ばっ!お前、良く見ろ!」
男達を不思議そうに見た。そして、髪色が違うことにもう一人が気づく。
「げっ!そっくりじゃん!」
「???」
「わ、悪い。俺ら徳川のツレでさ。……内緒で彼女を見にきてさ。……どんな子か教えてくれないか」
嘘を並べ辻褄を合わせ、それとなく聞き出そうと考えた。
「……今、徳川なら、彼女と店の呼び込みに行ってる。白いドレス着てるから、割とすぐに分かると思うけど?」
「そうか。サンキュ。……ほら、冷やかしに行こうぜ」
「そ、そうだな!」
そそくさと立ち去る二人。