第228章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(15)
文化祭が始まった頃。
他校生の三人は一般客として、
何食わぬ顔で学園に潜り込んでいた。
「ヒュー。金かかってんな。さすがセレブ学園〜」
『戦国学園!文化祭!』
煌びやかに飾れた豪勢なゲートを潜り、
口笛を吹く、一人の男子生徒。
明るい髪。上下グレーの制服の中に、迷彩柄の派手なパーカーを着込み、ズボンのポケットに両手を突っ込む風貌は、いかにもチャラい。
「校舎自体は古い癖に、やる事はいちいち派手で有名だからな」
制服を着崩さずに、指定通りに着用した長身のインテリ風の男子生徒。上着の前をしっかり止めてる所為か、真ん中の白いラインが良く目立つ。呆れたような声を出し、校舎に視線を向け、中性的な顔立ちの目を細めた。
「良いか。二度と弓道出来ないように、腕の一本でも折ってやれ。……弟から弓道を奪ったんだからな」
そしてその二人の背後に立つ、体格の良い男子生徒。上着を肩にかけ、彫りの深い顔に笑みを浮かべると、校舎に向かって歩き出す。
「クレープは如何ですか?」
「お昼に、グランドで吹奏楽の生演奏やるので、良かったら足を運んで下さい〜」
数々の呼び込みに目もくれず、
「2年B組のクラスで、ストラックアウトビンゴやってまーす!ヨロシクっす!」
その言葉には反応。
チラシを配っていた二年の男子生徒。
体格の良い男は、その生徒のシャツを掴み……
「おい。徳川のクラスどこだ?」
引き寄せる。
「へ!?……徳川?……あ。家康のことか。二階でお化け喫茶やってる教室ッス」
男子生徒は一瞬、ポカーンとした後。
そう答えると、
掴まれていたシャツから手が離れた。