第48章 「恋の和歌集(12)家康様編」家康side
「言わないとわからない」
「ち、近すぎだよ///」
「昨日、三成とこれぐらいの距離でいたし」
「あれはバスが混んでたからっ///」
「……で、振り返ってキスされたの?」
まだ根に持っていた俺は、肩肘ついていた手を動かしひまりの唇に軽く触れた。
見た感じ、どうせバカ三成が態とらしくフラついたフリでもしたんだろうけど。
ーー傘、ありがとうございました。
ーー……それだけ?
ーー恋人でもない家康先輩に、お詫びする必要は……ないかと。
(もう一発、殴っとけば良かった)
「と、咄嗟に避けたから一瞬掠っただけで……」
ひまりはアレはキスじゃない。と顔を横向け口をモゴモゴと動かす。
「俺にはそう見えたけど?」
ムスッとして、そう聞くと
「家康としたキスとは全然、違ったもん……」
小さな声でそう呟くのを、聞いて
バカなの?
そんなこと言ったら……。
「そ、それより勉強の続きしよ!」
ひまりは、必死に俺の手を払いのけようともがく。
もう、離せないし。
「俺は、前の続きしたい」
「前?いつの?」
「……教室の」
したくなるし。
キスする度、逃げられるのわかってんのに。それでもしたくなる。
(バカは俺の方かも)
好きっていつ迄も言わずに、勝手にキスだけして。最低なのは自覚あるけど……。まだ言いたくない。
ひまりが自覚するまで、焦れったい関係続けて……
「家康??」
ひまりがーーーーー……。
「……まずは消毒」
まずは軽く触れるだけ。
ひまりが、泣きそうだったらこれ以上はやめるつもりだった。
ドォォ………
「きゃぁぁ!!!」
タイミング良く、雷の音がけたたましく鳴り。
部屋の電気が切れて。
暗闇の中……
雷が苦手なひまりは、俺の腕の中にいた。