第48章 「恋の和歌集(12)家康様編」家康side
部屋の中。
フラッシュ焚いたような光が広がる。
数秒後、近辺で落ちたのか窓ガラスが微かに音を立て震えた。
(……俺、集中出来ないんだけど)
原因は明らかに、目の前にいるひまりのせい。俺のパーカ一枚だけ着て、惜しげも無く晒された白い脚が机を挟んだだけの距離からは丸見え。
ちょこんと正座を崩したように座り、雷の音が響く度に肩をビクつかせてて……滅多に結い上げないのに、雨で濡れたせいか髪を高い位置で一つに縛り、頸まで見せてるし。
これは、完全に
(誘ってんの?スカートまで脱いで)
そこまで考えて、
(ひまりに限って、それはあり得ない)
と、自問自答する俺。
(っとに無自覚、無意識すぎ)
すっかり、勉強モードに入れない俺にひまりはシャーペンでチョンチョンと手を突き、
「この展開式、教えてくれる?」
「……どこ」
「うんとね、問三のとこのわからなくて」
身を乗り出して問題集を見せるひまりに、触れたくて思わず伸びそうになる腕。
「ん〜応用になると難しくて」
俺の手を突いたシャーペンを唇にあて、口を尖らせるひまり。それを間近で見て、問題どころかそっちに意識が全部持ってかれる。
(……我慢する自信ないかも)
「家康?どうしたの?」
「……何でもない。教えてあげるから、こっち来て」
すると、ひまりは何の警戒心もなく素直に移動し俺の隣に座った。
(はい。残念)
腰元に片腕を回し、自分の方に引き寄せ
「何がわかんないの?」
剥き出しになった耳元で聞く。
え?///と、途端に動揺してあたふためく反応が可愛くて、俺は囁き続ける。