第226章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(13)
俺の携帯は教室。
着替えた時に、鞄の中にしまったまま。
ひまりがもし一階に居たら、
政宗から連絡があるかもしれない。
一先ず、
急いで教室に取りに戻ろうとした時。
「戦国プリンス様〜〜」
「次は、何処に行きますか〜?」
前から人固まった集団がぞろぞろと、こっちに向かって歩いて来るのが見えて……
その取り巻きの中心に居た、
「家康。その格好?なかなか似合ってるじゃないか」
秀吉先輩は俺の姿を見つけるなり、声をかけて来た。囲むように歩いていた女子の取り巻きから離れ、俺のすぐ目の前に立つと、物珍しそうに上から下まで眺めまわした後、顎に手を添え、笑みを浮かべた。
「先に言っときますけど。織田先生も同じ格好……してますけど」
俺は、何か言われる前に先手を打つ。
「本当か?なら、後で見に行かないとな。髪も編んでるじゃないか。ひまりにして貰ったのか?」
ピンと軽く引っ張られた髪。
いきなり髪を触り出して、折角だし揃いにしよう。とか、あんまり可愛い笑顔を見せて言うから、大人しくしてたら左耳辺りの部分だけ編み込まれていた。
笑顔を振りまきながら髪を弄る、秀吉先輩に「やめて下さい」とムスッとして、一言返す。
「今、ひまりを探してる最中で。何処で見ませんでした?白いドレス着ているから目立つはずなんですけど」
「アイツ。そんな格好してるのか?残念だ。まだ、見てないな」
「……見なくて良いです」
まるでこれから探して見ようか。みたいな口振り。秀吉先輩がにやりと笑うのを見て、不機嫌そうにしかめっ面をすると……わしゃわしゃと髪を撫で回され、冗談だと言われた。念の為、秀吉先輩にもひまりを見かけたら連絡して欲しいと、そこはちゃっかり頼む。