第226章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(13)
戦国学園の文化祭。
開催前に広告撒いたり、割と早くから案内ポスターを商店街に貼り付けたりり。その、宣伝効果が効いてか……毎年、他校生や大学生、一般がうんざりするほど集まる。
パタパタと走り去った、ひまりの後ろ姿。俺のブレザーを肩にかけ、落ちないように掴みながら、人混みに紛れて姿が消え……
慌てて、追いかけようにも……
「ねぇ〜。どこのお店の呼び込み?」
「あ!チラシ持ってる〜。一枚、お姉さんにくれない?」
猫撫で声の集団が邪魔で、すぐに動けずに、盛大な息を俺は吐く。
手に持っていたチラシ。
そこに伸びてくる、派手な飾りが付いてる長い爪。
それを、
「………邪魔」
パシッと、手で払う。
ほんと、触るのも嫌だけど。
そうボソッと呟き、前を塞ぐ女子大学生一人の腕を押して道を作る。
「ねぇ!ちょっと〜〜」
「感じワル〜〜」
ひまり以外に、どう思われようが俺は構わない。人混みを掻き分け、廊下を突き進み教室に向かう。
催し物で賑わう教室前を避けて、行こうか悩んだが、遠回りになるのはそれはそれで面倒。後、どっかで他校生のヤツに声でも掛けられて、困ってるかもしれない。
(あんな目立つ格好でっ。……ほんと、やめて欲しいんだけど)
肩からブレザーを掛けてるとは言え、ドレスの丈は短い。スラリとした綺麗な脚は丸出しだし、胸元は……本人気づいてないけど、俺ぐらいの身長からだと……角度によって下着とか見える。
(ブレザー。もし、走ってる最中に落として。前に屈んだら………最悪)
人との間をすり抜け、
頭の中はそんな心配ばっかり。
自然と早まる足。
普段の俺なら、肩同士がぶつかるのも避ける所。少々あたろうが気にせず、ひまりの姿を探す。
そして、教室に辿り着いた。