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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第225章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(12)




数メートル先。
そこにある曲がり角さえ回れば、自分のクラスの教室に辿り着くはずだった……

なのに……


前方を塞いだ二人。
背後の人とやり取りをした後。
嫌な笑みを浮かべ、ぐるり静かに周りの様子を確認して、扉を開ける。


「それ、どうする?」


「おびき寄せるのに、あえて使うか」


私の肩から剥ぎ取ったブレザー。


それを、背後にいる人が前に立つ一人に放り投げる。それを、受け取った人が扉の付近の床にパサリと、落とすのが視界に映った。



「ん、ん、んーっ!!?」


言葉にならない声を漏らせば、
私の口を塞ぐ手に、グッと力が入る。



「徳川がここを通らなくても最悪、誰かが気づいて届ければ、わかるだろうからな」



大事な女に、何かあったってな。


私の自由を奪っている背後の人は、そう言ってその体勢のまま、扉を潜る。


日中なのに、
黒いカーテンで遮られた光。

普段から空き教室になっているここは、他の教室みたいに白いカーテンではなく、黒くて重そうな……まるで、舞台幕のようなカーテンが付けられている。

ほぼ、物置き場みたいになっている室内。入ったのは、記憶にある限りでは大掃除の時に一度。

端っこに、キッチリと固められた机。

整然と机が並ぶ教室とは違い埃っぽくて、ガランとした雰囲気。ロッカーは何故か開きっぱなしで、掃除用具や黒板消しが飛び散っていた。



(何でこんな所に……っ!)



「大人しくここで、待って貰おうか」




今、自分の身に一体何が起こっているのか。何故、こんな状況になっているのか全く理解できなくて、頭の中はパニック。ただ、身の危険だけはひしひしと感じて、中に引きずり込まれた途端。私の体は勢い良く教室中央の床に、ドサッと落ちた。


慌てて、身体を半分起こす。



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